<今回の背景は、有紀ですv>
ちょうどその頃。日向家では・・・
「有紀ーーーー!!風呂入りなさーーーーーい!!!」
母さんが大声を出していた。
しかし、一向に有紀からの返事はない。
「ちょっと、杏奈!有紀探してきて!!」
「はぁ?なんであたしが!?」
「いいじゃないの!杏奈しかいないんだから!!」
「真樹兄がいるだろ!?」
あたしは真樹兄を指差した。
「俺勉強中」
平然とテレビを見ながら答える真樹兄。
どこが勉強中なんだよ!!!
「だからお願い!たぶん有紀部屋にいると思うから」
あたしは、舌打ちをして渋々有紀の部屋に向かった。
ったく・・・バカ有紀・・!!
見つけたらただじゃおかねぇ!!!!
あたしは有紀の部屋にノックさえせずに入った。
しかし、有紀は机に向かって何かに集中していて
あたしが入って来たことに気付いていない。
あたしは、ゆっくり有紀の背後に近づいて行って覗き込んだ。
「うはゎっ!!??」
有紀はあたしに気付いて、変な声を上げて書きかけの手紙を隠した。
「・・・何書いてたんだ?」
「なんでもないよ!」
「じゃあ、その手紙見せろ!」
「やだよ!なんで見せなきゃだめなんだよ!!」
「みーーーせーーろーーー!!」
あたしは、手紙を引っ張った。
「やーーーーーだーーーーー!!!」
有紀も負けじと手紙を引っ張る。
「離せ!有紀っ!!!」
「ぜーーーーったいやだ!!!世界が滅んでも離さない!!!」
「離せーーーーっ!!」
言い合い&引っ張り合いが始まってしばらくすると・・・
「うるさいんだけど・・・って何してんの?」
部屋の入り口に真樹兄が立っていた。
あたしは、驚いて思わず手紙を手放してしまった。
すると、ひっぱっていた勢いで有紀が後ろに倒れそうになって・・・
有紀の手から手紙が離れ、手紙が宙を舞った。
その手紙は、見事に真樹兄の手元に飛んできて。
「・・・なにこれ」
真樹兄は、そう呟いて手紙を開いて見た。
「あーーーーーーーーーっ!!!」
有紀がそう叫んだ。
真樹兄は、手紙を見終わるとそっと閉じて
「ふーん・・・・フッ」
と意味深に笑うと手紙をあたしに手渡して、スタスタと歩いて部屋を出て行った。
あたしも、手紙を見る。
「ま、マジかよ!」
あたしは、有紀を見た。
「・・・・内緒にしてよ・・・」
有紀は、まるで世界が滅んだ後のような顔をして言った。
まさか・・・あの女好きで
女だったら誰でもいいみたいな有紀に好きな人がいたなんて・・・
しかも、その人が・・・・
愛来だったなんて・・・!!!
そう、あの手紙は・・・
有紀が愛来に宛てた、ラブレターだった・・・・