<今回の背景は、俊ですv>


「遅刻遅刻遅刻ーーーーーっ!!!」

私は、そう叫びながら着替えていた。
急いで着替えを済ませると、鏡に向かって髪をとかす。
そのとき右耳のピアスがチラっと見えて、私の表情が緩んだ。

・・・・こういうのを幸せって言うんだろうな・・・

私は、鏡に向かって微笑んで、鞄を持って走って部屋を出た。

「姫っ、いってきまーーーす!」

私は玄関のドアを開けながらそう言った。

「はいはい、気をつけてねー!!」

姫は、ガチャガチャと食器を片付けながらそう返した。


外に出ると、ちょうど杏ちゃんと有紀くんが通りかかった。

「あ!杏ちゃんと有紀くん!!」

私が、驚いてそう声をかけると

「心亜じゃねーか!ジャストタイミングだな!」

二カッと笑って言う杏ちゃん。

「うわっv朝から心亜ちゃんに会えるなんて最高☆一緒に行こ!!」

杏ちゃんにつづけて、有紀くんがニコニコしながらそう言った。

「うん!!!ってか、杏ちゃんと有紀くんが2人で登校するなんて珍しいね!」

私は、歩き出しながらそう言った。

「あぁ、バカ有紀が寝坊したからな」

杏ちゃんは、そう言って有紀くんを睨みつけた。

「・・・杏姉だって寝坊したじゃーん」

ぷぅとふくれっつらをして有紀くんが言った。

「あはは、実は私も寝坊しちゃったんだー!!」

私は、そんな2人を見て笑いながらそう言った。

「あっ!!!もうこんな時間だよ!!急がないとマジで遅刻だ!!」

有紀くんが、突然携帯を見てそう言った。

「よし!走るぞ!!!!」

杏ちゃんが私の手を引いて走り出した。

「ちょっとーーー!!俺のこと置いて行かないでよーーーーーー!!」





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ところ変わって、ここは二年七組の教室。

俺は、自分の席で頬杖を付いて座っていた。

「・・・俊」

突然真樹に名前を呼ばれた。

「どしたんだよ?」

俺は、目線だけ真樹に向けてそう言った。

「一ヶ月オメデト」

真樹は、無表情でそう言った。

「はっ!?真樹、熱でもあるんじゃねーか!?」

俺は驚いて席を立った。

だって、真樹ってそういうこと言うキャラじゃねぇし!!!

「・・・何、俺が祝ったらおかしいの?」

真樹は、冷たい目で俺を見た。

「いや・・・別にそういうわけじゃねぇけど・・・」

俺は小声になりながらそう言った。

「俊、今日一緒に帰らない?」

「・・は?」

俺は間抜けな声を出した。

「・・・聞こえなかったの?」

「聞こえたけど!!!!」

「じゃあ、『うん』か『はい』で答えて」

真樹はそう言って眼鏡をくいと持ち上げた。

『うん』か『はい』って・・・どっちもYESってことじゃねーか・・・
ま、今日は暇だし・・いっか。

「わかった」

俺がそういうと、真樹は「相談したいことがあるんだ」と言って、自分の席に戻って行った。

真樹が相談?珍しいなぁ。




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放課後になり、俺と真樹は夕焼けの綺麗な道を帰っていた。

「で、相談って何だよ?」

俺は、真樹の横顔を見ながらそう言った。

「・・・うん・・・あのさ・・・・」

真樹は、そう言ってしばらく無言になった。

「真樹?」

俺は真樹の顔を覗き込みながらそう問いかけた。

「・・・・・・・・やっぱ、いいや」

真樹は、そう言って俺に向かって愛想笑した。

「いいわけねぇ・・・」

俺が言いかけたとき、ブワッと風が吹いた。

そのとき、真樹の左耳にピアスが見えた。

「真樹ってピアスしてたんだな!」

俺は驚いてそう言った。

「まあね」

真樹は、そう言って髪をかき上げた。
俺は、真樹に近づいてピアスをよく見てみた。

・・・この銀色のシンプルなピアス・・・

なんか・・・どっかで見たような・・・・

「・・・あ」

俺は、思い出してそう声を出した。



これ・・・・心亜がつけてたピアスと同じだ・・・